luminabella
luminabella
HOME > STORY > Vol.01 『唯一無二の贅沢な照明』PARACHILNA リエラ社長インタビュー

STORY

BRANDVol.01 『唯一無二の贅沢な照明』PARACHILNA リエラ社長インタビュー

 
LUMINABELLAが2016年より取り扱いを始めたスペインの照明ブランド「PARACHILNA(パラチルナ)」。
日本での販売開始に当たり、同社の代表であるローマン・リエラ社長がLUMINABELLA Tokyoでのデビューイベントのため来日しました。その時の模様を、ジャーナリストのジョー スズキ氏がインタビューしましたのでご紹介します。
 リラックスした雰囲気のなか、新ブランドにかける情熱、信頼するデザイナーや職人と共につくりあげる世界観など、リエラ氏の熱い想いが語られました。




2016.02.23 LUMINABELLA Tokyo 東京デザインセンターにて
 


唯一無二の贅沢な照明

 「PARACHILNAが世に送り出しているのは、『ラグジュアリー』な照明です。誤解しないで頂きたいのは、我々の考えるラグジュアリーとは、豪華さを追求したものではありません。まず何より、デザインが誠実でないと。国籍は様々ですが、これはと思うデザイナーたちに仕事をお願いしました。彼らのアイディアを、厳選された素材を用いて、ヨーロッパの腕利きのクラフトマンが製品に仕上げています」。
 そう話すのは、PARACHILNAのローマン・リエラ社長だ。同社は2013年にスペインのバルセロナで創業した若い企業だが、権威あるデザイン賞を既に多数獲得している注目の存在である。このような短期間で成功したのは、リエラ氏が長年にわたって照明業界で活躍してきたことが理由のひとつだろう。「祖父が創業した『metalarte(メタルアルテ)』という照明メーカーを経営していました。ハイメ・アジョンの『JOSEPHINE(ジョセフィーヌ)』を製造している会社です。残念なことに、2008年のリーマンショックの影響を受け手放すことになりましたが、多くを学びました。例えば大量生産大量販売を目指すのは簡単ではないとか」。
 そこで始めたのが、職人が一点一点作り上げていく、ラグジュアリーな照明器具の製造である。



 

デザイナーの個性と職人の技

 第二の成功の秘密は、個性的なデザイナーの起用だろう。かつて一緒に照明作りを行ない、その才能を認めているハイメ・アジョンにまずは声をかけた。続いて、日本での知名度は低いが、次世代を担うであろう二組、上海を拠点とするネリ&フーと、アメリカのスティーブン・バークスにデザインを依頼している。これまでイタリアや北欧のデザイナーたちが作り出してきた形と異なる世界を目指しているのだ。
 「誇りに思うことは、三組とも雑誌“Wallpaper“の、『2015年版・世界のトップデザイナー100人』に選ばれたことです。将来は時代を代表するデザイナーになるでしょう」。デザインの方向性について細かい指示は行わなかったと言うが、出来上がった照明はどれも、存在感があるうえデザイナーたちの文化的背景が反映されている。



ハイメ・アジョン「CHINOZ」

 ハイメ・アジョンは、得意とする磁器を素材に選んだ。製作に携わったのは、イタリアのクラフトマン。「CHINOZ(チノズ)」という名前の通り、オリエンタルテイスト溢れる照明だ。
 ネリ&フーの照明「BAI(バイ)」シリーズは、中国の伝統的な提灯を思わせる形。東欧の職人が吹きガラスで仕上げている。歪みの無い大きなシェードは、確かな技術があって可能となるもの。大量生産品でないことの証に、製造過程で小さな気泡が入ってしまったものも販売している。
 アフリカにルーツを持つスティーブン・バークスは、伝統的な手編みの技法を用いることが多い。照明の「ANWAR(アンワー)」は、彼が慣れ親しんだ植物などの素材を金属に置き換えたもの。職人の技術が相当に高くなければ、この構造を実現させるのは不可能だろう。
 しかもBAIとANWARは、LED光源の使用が前提となった、今の時代ならではのデザイン。会社は当初目指した方向に、着実に進んでいるようだ。



(左)スティーブン・バークス「ANWAR」 
(中)ハイメ・アジョン「CHINOZ」 
(右)ネリ&フー「BAI」



 ちなみに社名のPARACHILNAは、リエラ氏が仕事で訪れたオーストラリアで、地元の友人が案内してくれた砂漠の手前の小さな町からとったものである。「オーストラリアなのに、語感がスペイン語のようで気に入っている」と話すが、実はこの町、かつては大陸横断鉄道が走り栄えていた場所。それが何十年も前に路線変更となり、今ではすっかり寂れている。しかしリエラ氏は、強い信念と行動力がある人物が現れれば、いつかこの町に列車が停まる日が来るのではと想像したと言う。
 なるほど。この社名は、自分の力ではいかんともしがたい事情で会社を手放したものの、同じ業界で再起を図る男の強い意思表示に他ならない。



(取材・執筆・ポートレート写真:ジョー スズキ)




PARACHILNA(パラチルナ)の製品ページへ >>
 
ページの先頭へ